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西洋占星学でみるビートルズ08『リヴォルヴァー』 
☆『リボルバー』 - Revolver(1966年)
 1966年のコンサートでは本作品からの曲は披露されず、以後ビートルズはコンサートツアーを停止した。この行動自体が非常に風のサイン的である。獅子座のミック・ジャガーを中心に火と水の性質の強いローリングストーンズが現在もステージ活動を続けているのに比べて、風のサインのビートルズはきわめてクールだった。
自分たちの頭の中に創り上げられた作品を現実化すること--これこそが風のサインの創作理念なのである。コンサートをやるのもいい、観客と共感するのも否定していない。しかし第一の目標は、あくまで頭の中の理念の再現なのである。自分たちにとってそのためにコンサートが障害になるのであれば、風のサインのミュージシャンは惜しげもなくそれを放棄してしまう。
 一曲目「タックスマン」はハリソン作品だがあまりにレノンとマッカートニーのカラーが強い。3人の個性が同じくらい濃く発揮されている。ハリソン作品のボーカルはある意味「舌足らずの尻切れトンボ」になりがちなのだが、今回はこの語るべき内容が豊富とはいえないこのメロディーにマッカートニーの天才的なアレンジが加わり、奇しくもビートルズの最高傑作のひとつにまで押し上げられている。最初の表と陰のテンポのずれたダブルカウントの絶大な効果にはじまり、徐々に複雑化してゆくギターとベース。そしてギターのインド風ソロ展開、そしてそれ以上に雄弁なベースライン。まるで、ヴォーカルが脇役であるかのようである。この曲や「オールド・ブラウン・シュー」は聴きこむほどに、ベースラインを追っている自分に気がつくのである。圧巻はヴォーカルの一番最後の部分でのベースライン(「さっさと切り上げてしまう」感じ)で、マッカートニーの天才性が堪能できる。
「シー・セッド・シー・セッド」は真の傑作である。レノンの最も優れた資質が前面に出ている。天秤座作曲家は言葉にこだわる人が多い。レノンもその一人だが、実際に良くなるのは音楽のほうである。言い換えれば、ありあまる音楽才能の無意識からの発露のために、言葉という意識上の道具を利用するのである。であるから、「ジョンの良さは詩の良さだ。本人も詩にこだわっているじゃないか」といった視点が正しいとは思われない。この作品の場合はどちらも傑作である。詩もまさに才気にあふれている。曲はといえば、非常に攻撃的な輝きを放ちながら、必要となれば自在に拍子を変え、また元に戻ってくる。完全にレノン以外の人間には書けない傑作である。
「トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ」は独創的な曲だが、なにせメロディーが単純に聴こえるので、内心純粋に音楽的にどれほどの曲なのか、と訝る人がいても無理はない。しかし、ある不可解な意識の経路を通って、ひとたびこの曲のリズムのもつ意味を理解してしまうと、純音楽的な意味合いでも間違いなく傑作であることがわかる。発想と勢いでここまでできてしまった、そんな作品である。この曲はサイケデリックソングであることに間違いはないだろうが、果たして音楽の実質に対して音の数はそんなに多いだろうか?いやそんなことはない。むしろ無駄がなく、シンプルすぎるくらいだ。このシンプリシティーがのちに『プラスティック・オノ・バンド』といった名盤を残す原動力なのだ。
「アンド・ユア・バード・キャン・シング」は、「シー・ラヴズ・ユー」から綿々と続いてきたレノンのストレート・ポップスの一つのまとめのような曲で、これを境にレノン作品ではこのような無防備なまでに明るい曲はほとんどなくなる。十二弦ギターのソロは華麗ですばらしい。この2分にも満たない短い曲の中で三回繰り返されるが、とてもこの長さとは思えないほど、豊かな音楽が味わえる。短い曲なのに鳴っている間は長く感じられるのだ。こうした効果も風のサイン独特のもので、モーツァルトやシューベルトの一見コンパクトな構成の中にぎっしりと詰まった音楽性・情報量の豊富さを思い出させる。レノンの月は水瓶座であるが、これはバッハの月、モーツァルトとシューベルトの太陽のサインである。このコンパクトな効率のよさが水瓶座の特徴である。もちろんこの水準に達する芸術家があまりに少ないのも仕方がないことではあるが。
「エリナー・リグビー」は大変人気が高い曲だが、これは私にはまったくわからない。メロディーは豊かさを欠くし、ストリングスは(これをアレンジしたジョージ・マーティンはこれを自慢にし、楽譜を額に入れて飾っているということだが)、「悪い」とは言わないまでも当時は新しかったのだろうという種類のもので、長い音楽の歴史の中でなんら新しいものだとは思われない。
「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」「フォー・ノー・ワン」はマッカートニーによる佳曲である。本来重くなりがちな金星牡牛座のメロディーがその豊かさを保持したまま、風のサイン的な軽快さ・淡白さを備えている。マッカートニーのこうした対象と節度ある距離を保つ手法は、彼のメロディーの才能をのちに大きく発達させる一つの支柱となってゆく。
リボルバー

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