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西洋占星学でみるビートルズ09『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』 
『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』 - Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(1967年)
これはポール・マッカートニーがよくがんばったアルバムである。それゆえにマッカートニー独特の「閉じた」音楽としての魅力と問題点を内包している。多くのビートルズファンがこのアルバムを一番にあげないのは、この問題点ゆえである。これは双子座の問題点というよりも、金星牡牛座の豊か過ぎるメロディーの問題である。 ブラームス、チャイコフスキー、古来から牡牛座作曲家はこの問題に頭を悩ませていた。構成力はある。メロディーも十分に豊かだ。しかしどうしても重くなるのだ。また、このためか、このアルバムでは、アレンジの素晴らしさは堪能できるが、演奏の切れ味はあまり感じられない。たたみかけるような勢いのあるレノン作品が少なく、マッカートニーが最もそのアレンジの才能をのびのびと発散できるハリスン作品がインド音楽風味であることなども影響しているのかもしれない。特にハリスンのギターが面白みが少ない。
もちろん一曲一曲は平均以上のできであり、駄作は少ない。ただしハリソン作の「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」が退屈である。(ディルルーバという弓による弦楽器がヴォーカルをそのままなぞったり、インターバルの部分でタブラ(打楽器)が変化をつけたりすることがこの音楽においてはたしてそれほど効果的だといえるのだろうか?)レノンがこの作品を褒め称えているが、天秤座の創作意識というのは、ピアニストのグレン・グールド然り、自分の表現分野については非常に鋭い理解を示すが、それがジェネラルに他の芸術作品一般への批評と言うことになると、甘くはならないまでも多少的外れで視野の狭いものになることが多い。
「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」がこのアルバムの最後を飾るにふさわしい優れた大作だが、それでも私は「ベスト」の一曲に選ぶところまでは行かない。
このアルバムの中では「ビーイング・フォーザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」が優れた作品で、特に和音の変化の面白さが醍醐味である。ベースは(「愛の言葉」同様)もう少し面白くならなかったかと思う。
この曲と上記二曲(一曲は悪い意味合いでだが)を除けば、他の曲はほとんど同じ水準(高水準)で一律的に並んでいる印象である。どれもアルバムに貢献しているし、独立した曲としても優秀だ。
「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は月に獅子座という火のサインが入っていることでいかに音楽において重層的構成が得意になるかがよくわかる作品。おそらく作曲者の心中では前々作の冒頭曲「ドライヴ・マイ・カー」の流れにあるのだろう。
また「ゲッティング・ベター」は、双子座独特の良く弾むリズムが特徴的で、非常に考えられた構成となっている。曲はいつものビートルズ・ソング同様快活にすばやく展開しながらも、最後まで終わらないうちに、タンブーラの流れるブリッジ部分に入り巻き返される。このブリッジは大変効果的で、もう一回繰り返されるときも大きな効果を生むが、そこまで聴くうちに、こうした効果の根本にあるのが実は彼独特のオクターヴ・ベースに支えられたリズム感(非常によく弾む双子座のリズム感!)だということがわかってくる。
「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」も優れた曲だが、リズムパターン等が同じであり、双子的な作品である。「フィクシング・ア・ホール」は先行する作品とまさに陰陽の「陰」を担当しているかのようであるが、こちらも同様に優れている。短調と長調の間を揺れ動くかのような表現が見事だ。
続く「シーズ・リーヴィング・ホーム」は詩の内容としては多少お涙頂戴もの的だが、しかしピチカートによって変わる場面展開といい、一見凡庸な手法だがそれでもたしかに効果的なストリングスの伴奏などもかなりよい。私はビートルズのストリングス活用は、奇抜なものよりもむしろこうしたものに面白みを感じることがよくある。というのも、元の音楽が優秀なのだ。先の「エリナー・リグビー」の場合のような奇抜な使用は、むしろマッカートニーの直接の手によるベース・ライン以上に独創的なものには決してならないと感じさせるからだ。
B面に移り「ホエン・アイム・シックスティー・フォー」は手馴れたつくりで多少ほっとする。一般に批判されているほど悪いとは私には思えない。この曲のカラーは双子座にしばしばみられるもので、同じ双子座のハリー・ニルソンの傑作「子犬の歌」などとも共通点がある。
続く「ラヴリー・リタ」は緊迫感のある優れた作品で、特にエンディングの部分でのマッカートニーの工夫が非常に効果的である。バックのレノンたちの声も非常に効果的で、やはりこれはマッカートニー一人だけの作品にはなりえないと実感させる。この頃からマッカートニーは積極的に自分の声が違う響きを持つように工夫を始めている。これは後に「ポール・マッカートニー死亡説」の遠因の一つになっている。
「グッド・モーニング・グッド・モーニング」は一般に駄作とされているが、私はそう思ったことはない。贅肉質のマッカートニー・サウンドを聞いた後では、余計な感情の揺らぎがなく、清潔感さえ感じることがある。無感情的な音楽はわかりにくいかもしれないが、これは天秤座独特の強力な形式感が発揮された音楽でもある。好き勝手にリズムが変わるところも、ある意味、凄まじい。天秤座ならではだ。
続く「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(リプライズ)」は立派にリプライズの役目を果たす興奮度の高い音楽である。アップテンポのドラミングはわかりやすいがそれでも決して陳腐にはなっていない。
 結果的にほぼ全曲の批評をしてしまったが、やはりここまでやらせてしまうだけの内容を持っているアルバムなのであろう。この「仮想コンサートの再現によるオペラ的作品の創作」というテーマは、のちにマッカートニーのアルバム『ヴィーナス・アンド・マース』によって再度試みられることになる。トータル・アルバムに対する執着、そしてこのオペラ的な感性はまさに風のサイン、特に双子座的な感性である。双子座のクラシック作曲家というとワーグナーとリヒャルト・シュトラウスがよく知られるところだが、風のサインというところまで拡張すると、ヴェルディ(天秤座)、モーツァルト(水瓶座)といったオペラの大御所がそろう。ビートルズは、この作品で20世紀ポピュラー音楽界で、優れてオペラ的作品を創り上げたといえる。
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド

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