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西洋占星学でみるビートルズ11『ザ・ビートルズ (ホワイトアルバム)』(1枚目) 
『ザ・ビートルズ (ホワイトアルバム)』 - The Beatles(2枚組)(1968年)
唯一の二枚組。一曲目の「バック・イン・ザ・USSR」は、マッカートニーの作曲能力とアレンジ能力によって完全に制御された作品で、ドラムスの一音一音にいたるまで(このドラムはマッカートニーがたたいている)行き届いている。このように詰めて詰めて詰めまくるアレンジは水星支配の双子座と乙女座の特色であり、このような場合は「余白の美」のような音楽空間は期待できない。一方天秤座のレノンであれば、音と音との空白に一種の仮想空間を作り出すという性質が強くなる。また、この緻密なドラミングを聴いて、またリンゴ・スターのドラムも悪くないとより感じるようになった。決してマッカートニーのそれが悪いというのではない。ただ、このようなやり方で音を詰めてゆくやり方ばかりでなくても良いはずだとは思わせる。スターのドラムは一般に特別なものとはされていないかもしれないが、個性の強いこの「ビートルズ」という音楽集団において、不協和音をうむことなく寄り添っていったというだけでもたいしたものではないかと改めて思わせる。
「ディア・プルーデンス」はレノンの傑作である。このアルバムの二曲目にしてこの不思議な世界に驚いた人も多いのではないだろうか。このアコースティックギターが創り上げる象徴の世界は何であろうか?「人間は考える葦に過ぎない」と言ったパスカルの虚無の葦原だろうか?それとも伊邪那岐(いざなぎ)が見たという黄泉の世界であろうか?それともこの歌詞の通りの現世なのだろうか?歌詞にあるとおり、「太陽は高く、空は青い」のだろう。しかしその色彩はなんとも不可思議なものになっている。このような体験をさせてくれるのは、まさにレノン作品しかない。天秤座のもつ感性の抽象性がもたらす世界だ。続く「グラス・オニオン」もレノンらしい作品だが、勢いに対して多少内実が薄いような感じを与える。諧謔的な味わいがマイナスに出ている側面もある。
「ハピネス・イズ・ア・ワーム・ガン」は傑作である。次々とテーマが変わるその奇抜さは多くの作曲家が一度は試みたいと思っているものであろう。後のマッカートニー&ウィングスの「バンド・オン・ザ・ラン」などもこの曲の影響がないとはいえないだろう。しかしながら、このようなレノン作品の場合は、新しいテーマが出ることによって音楽が進行するのではない。テーマより先に作曲家の自由自在な感性が背後にあってそれに並行して新しいテーマが現れるのである。それがこの作品に説得力を与えている。
B面一曲目のマッカートニー作品「マーサ・マイディア」はスッキリとしていて展開も早い。かなりの作品である。「アイム・ソー・タイアード」はレノンの見事なヴォーカル・コントロール能力が楽しめる。このB面はハードロックが一曲、しかも短いものしかなく、全体的にバラードまたはカントリー調が強い。マッカートニー作の「ロッキー・ラクーン」は循環コードを最大限に生かした佳作で、もともと双子座がリラックスしたスタイルを得意とすることがよくわかる。「アイ・ウィル」は非常にこじんまりとまとまっているが傑作といって差し支えない。マッカートニーの美質が詰め込まれている。アレンジも優れている。「ジュリア」は、レノンがその後アルバム「ジョンの魂」に向かう自己の人生告白的な個性が強まってきたことを示す一曲。B面の最後にふさわしい沈んだトーンの作品。乙女座の金星と天秤座の太陽がそれぞれのかたちでもつ暗さがうまく融合して出た印象である。

ザ・ビートルズザ・ビートルズ
アーティスト:ザ・ビートルズ
販売元:EMIミュージックジャパン
発売日:2009-09-09
おすすめ度:4.5
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