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占星学でみる日本近代文学史61 川端康成(双子座) 
川端康成1899年6月14日生まれ(太陽 双子座、感情を表す月 獅子座か乙女座)

 川端作品は「雪国」「伊豆の踊子」があまりに有名ですが、むしろそれ以外の作品における多様性が魅力です。(ふたご座が一つのやり方だけを突き通すということはあまりないことです。)

 川端は幼いときに両親を病気で全員失っていて、事実上天涯孤独の身で、作家として成功しました。作品には自己を見つめる冷徹な目が常に潜んでいます。(これも非常にふたご座的感性です。ふたご座作家が常に知的で冷徹だというわけではありません。厳しい視線を向けるとき、それが作品内に反映されて、読者にその厳しさが伝わってしまう、そんな要素があるのがふたご座的だとこの場合は言えるでしょう。)

 この人はガス自殺したと言われていますが、ガスストーブ事故説があり、私もどちらかというと後者を支持しています。というのも、知的な双子座作家が悩んでいたならば、どこかで誰かに事前に言葉で漏らしているはずだからです。それに、少なくとも書かれたもので見る限りは、直前まで作者は自殺反対派であり、そのあたりは双子座さんはポリシーに忠実なはずです。(というか、自分の信条と違うことをいきなり臨機応変にやろうとしても、長いこと迷うはず。)とはいえ、自殺は、その人の精神的な個性まで押しつぶすほどの大きなストレスが背景にあったはずですから、なかなか決定的な判断はできません。

 また、川端のような日本文化色豊かな作品を読むと、本当に芸術とは何か、そもそも文学は芸術家という問題を考えさせられます。音楽であれば、抽象性があった方が良い。誰も、ザルツブルグ文化を味わおうとしてモーツァルト(水瓶座)を聴いたりはしないし、ビートルズとリヴァプールの関係も然り。ヨハン・シュトラウスJr.(蠍座)ですら、すでに私たちはウィーンをきこうとしているのではないでしょう。むしろシュトラウスの音楽を通じてそれぞれのウィーンを味わうのです。

 しかし文学、特に小説では、必ず具体的なものがあるし、それを抜きに語ることはできない。名詞があり、再現しようとしている現実の空間は厳然としてあったのであり、その現実のものの方の良さは、文学作品の良さとニア・イコールという場合もあるでしょう。しかし、それでも川端文学を読んでいると、では、この素晴らしい日本文化を伝達する媒介としての文学という発想がそれほど非芸術的なものとは感じられなくなってきてしまいます。というより、先に、文学が、現実文化を伝える器であったならそれは素晴らしいことなのではないか、そんなことさえ積極的に感じさせてくれます。

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