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『反省させると犯罪者になります』レビュー 2016年07月11日
社会から見て「反省」に見えていることが、個人の中では解決・改心したことにはならない。
ある意味では人間の当たり前の本性を、もう一度確認しているという点で、読む価値のある資料です。
こうした問題は、本来、五行の深い知恵・西洋占星学の視点においても、自明の理です。
ただし、こうした作者の著書において大きな問題なのは、人間が共通の特定の一つの原理で動いているはずだ、という仮定です。もちろん、この仮定によることで、科学の分野は多大な業績をあげて来ました。何よりも、西洋医学における応用であり、そのため、科学はどこまで人間の「自由」にかかわる問題に踏み込めるか、というところまで、考えさせるに至りました。
しかし、だからといって、「共通でないものは、存在しない」という前提で考察するのは、あまりに幼い。すでに、思考停止の状態です。
実際には、
1 観察者の仮定や意見自体も観察者という一個体の主観・ドグマにすぎない
2 対象者が複数の識別可能な分類のどれかに属することを認めない
この二つの態度から、人間に対する研究は迷宮に入っています。
これらを集約すると、その分類の方法論は、一見個々の特徴と無関係の客観的科学的原理(天文暦のような)に基づくという方法はあり得るやり方で、その一方で、その一つの一つの特性の発見は、観察者個人しないの立場を踏まえた上での精確な「主観的判断」でなければならない、ということになります。
これらのことが曲がりなりにも一般社会で達成されているのは、芸術批評の分野ぐらいのものでしょう。
しかし、21世紀の私たちの世界において、本当の教養とは、上記のような単眼的な手法からいかに自由になるかということでもあるのです。
しかしながら、この本は、私たちの認識をもう一度確認させてくれるという点で価値あるものだと思います。
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