東洋・西洋占星学研究の第一人者 上田きょうやの公式サイトです。

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時間は存在しない 
ホーキングの再来といわれる、イタリアの物理学者のカルロ・ロッヴェリによる時間論の本です。
非常に平明に説明されています。誰にでも読める良書です。
ここにある問いかけの多くが占星学で解明できるのですが、
道のりは険しいですね。

占星学的時間の計測(ホロスコープとか命式など)は、
「周期」を持った地球という星の上の万物において、エントロピー増大の法則をどのような偏差によって受けるかということです。

いつかまとめて書きたいです。
(本当は、物理学、遺伝学、生物学のデータを利用させてもらって研究を完成させたい。)




時間は存在しない
カルロ・ロヴェッリ
NHK出版
2019-08-29

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ピンク・フロイド「原子心母」解説 
原子心母
Atom Heart Mother
/(作曲:David Gilmour, Roger Waters, Richard Wright, Nick Mason & Ron Geesin)

1. 父の叫び - /Father's Shout/
2. ミルクたっぷりの乳房 - /Breast Milky/
3. マザー・フォア - /Mother Fore/
4. むかつくばかりのこやし - /Funky Dung/
5. 喉に気をつけて - /Mind Your Throats, Please/
6. 再現 - /Remergence/

聞き所二箇所

(13:20~)からのコーラスとメインテーマへの回帰
22:40〜43の金管の旋律

牛を写しただけのジャケットは、当時の環境下で”ATOM HEART MOTHER" というタイトルで見れば、瞬時にして「宇宙船 母なる地球号の命運」といった内容だと予感させる、秀逸なもの。

 序奏部はブルックナー開始のような予感に満ちた低音と、それに乗って様々な管楽器の音の破片が散りばめられる。これらはしばしば不協和音的で特に当時としては前衛的だったに違いないが、通して聴けば十分に音楽的で、メロディー自体というよりも、「尖った象徴」を提供している。しかもこの音の破片は、のちに各々の部所において本領を発揮する。ここはあくまで「提示部」である。それは、人間生命の原初の無意味なありさまを呈し、そして、なにか意表を突かれた心理を表すような奇矯な(乙女座らしい)ブリッジを経て、メインテーマが出る。(1:25〜)

 これはその後も曲全体を通じて何度も繰り返され一種のロンド形式になっている。この「宇宙船地球号」の旋律は私達にその命運を問うかのようにこれから数回に渡って、雄々しく、ときには悲劇的に打ち出される。続いて、散乱するトランペット音からオートバイの出発の音まで。原初からの愚かな人類の種族間闘争である。この闘争は決して大がかりな爆音でなくて良い。むしろ太古から続いている、開けた野の空気感を伴う戦乱の音であるべきだ。(「父の叫び」1:55~

 ここまで書いて再認識したのはこのように具象的に表現された芸術で本当に音楽的価値の高いものこそが、言葉での表現が難しいということである。このオートバイの出発が私達の心に与えるものはなんだろう?名状しがたい1つの新たな出発への想いである。その出発は自分ではないかもしれない。自分かもしれない。とにかく私達の心に去来する一つの原体験である。

 この一つの「オープニング」を終えて、メインテーマがもう一度演奏される。(2:21~)こうして同じメロディーにて人類の違う場面へと私達の目を向けさせる。(「ミルクたっぷりの乳房」2:53〜)生命の起源それとも幼少期または胎児の記憶から、緩やかで滑らかなギター(3:57~)。こうしてメインテーマに続く第二主題部分が確立して提示される。

 続いてギターにリードされたメロディーは徐々にメインテーマの旋律の役割を果たし、切ない、運命とも意志とも言えない苦々しい色合い次ので場面を切り開き(4:25~)、女声により次の主題に入る。(「マザー・フォア」5:23〜)先のものよりも人間の声であるだけに人間的感情の訴えが強いかもしれない。聖なる悲しみの歌。静かな何も主張しない、漠然とした無心の、それだけに切実な人類の訴えである。

 更に続いて、後のピンク・フロイドによく見られる、キーボードとベースによる転調的展開(「むかつくばかりのこやし」10:12〜)。そこから広がる空間においてギターソロが繰り広げられ、その後、地球のはずれの異教徒たちのような、しかしヒューマンな歌が重なり合い(13:20~)、衝き上げるように一つの叫びにまとまり(14:30~)、最初のクライマックスを迎え、メインテーマが爆発する(14:50~)。
 その後(15:27〜「喉に気をつけて」)、フリーキーで強迫観念的に印象が散乱する電子音楽から、電車の通過音と爆発、さらに爆発のあとの宇宙空間の虚無から復活するように様々な過去の旋律が再現され、膨らみ、ついにメインテーマが変奏曲となって再現される(19:12~)。

 そしてもう一回、最初の第二主題が奏でられ、「再現」(19:42〜)される。

 そしてラストのメインテーマがどちらかというと地味に始まり、しかし途中で収束することなくもう一度盛り上がり、フィナーレの全奏にいたってこの曲を締める。22:40〜43の金管の旋律は見事で、栄光の裏にある人類の醜さ、嫌になってしまうようなやるせないどうしょうもなさ、それでも生物として確固として現実に存在し意識し進んでゆく、進まざるを得ないその苦々しい姿を、諦めともかすかな希望とも言いがたい形で痛切に実感させる。ここが第二のクライマックスである。

 本作品は、その空気感と緩慢なリズムから、豊かで緩い良さを持つ作品のように取られがちだが、実際には隅々まで計算し尽くされた傑作であり、人類とは何かという必ずしもロックにはふさわしくなかったかもしれない壮大なテーマを他の分野の音楽以上に的確に包括している。

 のちに、日本のトリビュートバンド「原始神母」による演奏を聴いて再認識したのだが、これはクラシックであると同時に明らかにロックである。繰り返されるメインテーマは奏でられるたびに強烈な衝撃を持つ。これはベートーヴェンの交響曲でも、オペラにおける様々な象徴でもなし得なかった、具象音楽の一つの金字塔である。概念を持ちながら音楽がそれに決して負けることがないという、初めての異常状態である。(これを越えるものはサンタナの「キャラバンサライ」しかないかもしれない。)
 また、音楽は乙女座のロジャー・ウォーターズのあたかも対象がそこに存在しているかのような確固とした、しかしときには感情的でない進行に、魚座の影響の強いデヴィッド・ギルモアとリチャード・ライトが非常に豊かな音楽的表情を与え、それは少なくともアルバム「炎」までは良い形で続いていた。






【Live】原始神母2016「Atom Heart Mother」(pinkfloyd tribute)@161027Chicken George



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占星学とゲーデル誤用 
『ゲーデルの定理: 利用と誤用の不完全ガイド』(トルケル・フランセーン · みすず書房)

 「最近読んだ本」シリーズです。


第1不完全性定理:自然数論を含む帰納的公理化可能な理論が、ω無矛盾であれば、証明も反証もできない命題が存在する。

第2不完全性定理:自然数論を含む帰納的公理化可能な理論が、無矛盾であれば、自身の無矛盾性を証明できない。


 作者は、物理学者や哲学者を含めた多くの専門外の人々が、ゲーデルの定理を誤って利用し、濫用している点に反論している。この定理の前提には、それが帰納的公理化可能な理論であるということがあるが、他の領域や一般の人間社会は帰納的公理化可能な理論ではない。ましてや自然数論を含むものではない。であるから、それらにゲーデルの論は使えないとしている。そして公理可能な理論自体は、こうした他の領域においては無矛盾であるのが当たり前であると言っている。

 しかし、多くの私達にとって問題はそこではない。作者が訴えるような世間の卑俗な引用の間違いは、人々が、上記のような問題を勘違いしているからだとは限らない。もっとも、作者のようなゲーデルの専門家は当然上記の点だけは明言しておきたいというのも当然であるし、むしろホーキングやジャン・ブリクモン、アラン・ソーカルといった各方面の専門家たちのほうがさらに誤解した言明をしている。

 しかしながら、世の中の認識としては問題はずっと手前にある。つまり「ゲーデルによって世界が無矛盾ではないと証明された!」と騒いでいる定理濫用者たちは、まず、「『人間を取り巻く現実世界全体が、すべて数理によって説明できる』という理屈が迷信であるということを改めて提示しなければいけない」と考えているのではないか。一般世論は、この「世界は数学である」という極めて短絡的な誤謬をまず乗り越えなければならない。

 つまり、作者は帰納的公理化可能な理論ではないから適用されないと言っているが、それ以前に、一般の多くの人間は「全世界の体系的構造が帰納的公理化可能な理論で説明できるかもしれない」と勘違いしているのである。それをまず解かなければならないのだ。

 だから濫用者達は漠然とその無理を知っていて言っているのかもしれない。ゲーデルを持ち出して「どっちにしてもあなたの言っていることは無理なんだよ」と言ってしまったほうが早いのだ。ゲーデルの定理はそこからさらに一歩進んだ(または退いた)問題である。数学的定理はむしろ帰納的公理化可能な世界以外では、世界の一領域として、大変精確で無矛盾であるということであり、これは「科学以外の理論体系」として私の唱える西洋占星学の実在性にもつながる。
 占星学的視点はこうしたこの作者の主張とは無理なく一致する。

 占星学と結びつけてさらに哲学について言えば、ゲーデルが導き出した哲学は、はからずも科学とキリスト教の相性の悪い部分まで露呈させた。単一神的人間観は、人間の定義を一律化し、観測者の立場の可変性、時間(その存在自体というよりはその質的差異等)を定義する余地に対する視野を狭めている。ゲーデルはその人生の後半はほとんど閉じこもってライプニッツを読むばかりだったが、他の多神教の国々を巡れば新しい世界観が得られたのではないか、と感じさせもする。

 ゲーデル本人は哲学的帰結として、「人間知性は機械化不可能である(生気論)、もしくは、人間には捉えられない数学的真理が存在する(実在論・プラトニズム)」という選言命題が成り立つと主張している。

 (ゲーデルはそうではないにちがいないが)、大抵の一般の科学者は、占星学が認められるまではこれを、「生気論的迷信」と呼び、認めざるを得なくなった時「科学的に証明された」と安易に言うのかもしれない。占星学自体は、本質的に科学ではない。いや、彼らは勝手に「科学」呼ばわりする時が来るかもしれないが、私(たち)はごめんである。人間知性を生気論とプラトニズムとして分割思考すること自体、悪しき欧米の慣習の表れではないか。なぜ欧米人が、大変な知の宝庫である西洋占星学を理解できないでいるのかといえば、論理を立てるとき果てしなく一元的にすることで、結果こちらが鼻白むほどに、概念分割が即物的になり、対象の本質からわざわざ距離を取ることになるからである。このような、対称概念を即座に内包しない思考法には限界があるし、またそこには芸術を対象として思考する精神にも欠けている。




ゲーデルの定理――利用と誤用の不完全ガイド
トルケル・フランセーン
みすず書房
2011-03-26






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知りたくないではすまされませんね 
私が、なぜか(笑)英語の授業でも占星学講座でも話していることがよく書いてある本です。
おすすめです。




(本当は、これからは「占星学の原理を知りたくないではすまされない」という時代になってほしい、と小さな声で言ってみる。)


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なぜアレクサのCMは批判されるのか 
 最近、CMの「アレクサ男」が嫌われていることで共感を集め、話題になっていますね。
たとえば歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんの2019年9月3日のツイッターでの発言です。
「アレクサのCMの息子みたいな男苦手だな~」というもので、多くの「いいね!」を集め、ファンからは「あんな男絶対嫌だもの」といった多数の賛同意見が殺到。しばらくするときゃりーさんは寄せられたリプライに対し、「マザコ、、、」「お母さんにありがとうも言えない奴が彼女大切にできる気がしません」と返信し、これまた多数の賛同を得た、ということです。

これについては意識の表層の部分でのいろいろ分析が出ていますが、
深層的なことについて、ご説明します。

「アレクサ~して」という言い方は、
日本の生活空間に「一方的な命令」の概念を入れているから起こります。
日本では奴隷文化の概念が薄いせいもあり、働いている人は皆同じ立場の人間です。
この発想の違いは、たとえば、架空ロボットについても、日本では鉄腕アトムであり、ドラえもんです。ロボットは命令する以前に人間の友であり、お願いがあれば相談したり頼んだりする存在です。
一方、西洋では、故ホーキング博士まで「ロボットは人間を破壊する」と警告を出していました。これはある意味その通りなのですが、しかし同時に、ロボットは召使いであり使用人であるという視点になっています。

 これは占星学の概念では、「印がない状態」といいいます。
生活空間に印を忘れると、それは母性や目上目下に対する親近感がなくなることを意味します。
公の場ではなくても良いのですが、私的な場所でそれが欠けると、人はその内容に難癖を付けたくなったりします。

 アレクサCMの男性が嫌いというのは見ている側の自由な一感想に過ぎません。これは印が欠けた状態を見た日本人の標準的な反応です。私たちは家庭の中に命令口調があることが嫌いなのです。
 それを専門家が「それはアレクサ男が心理学的に~だから」といった言い方をすると、その時点で大きくずれてくるわけです。(そこに本質はない)。
 表面的に「ここが良い・ここが悪い」と事象だけを追いかけていると、その根本にある他者との関係性に目が行かなくなります。

東洋の占星学は単なる「当て物占い」ではありません。
人間のまだ言葉になっていない心理や事象を知ることで、よりよい世界を目指しています。

ちなみに私はアマゾン・エコーのCMが好きで、小さい子が「歯が抜けたよ!」と祖母に報告するものなど特に大好きです。特に音を消してみると良いです。
https://www.youtube.com/watch?v=omKZX6jvHHQ



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貴方に起こる出来事

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